メタルギア ソリッドのテロップ

映画番組に挿入されるテロップが話題です。説明過剰であるとか、ネタバレだとか。こういった議論から私が連想するのは、またしても『メタルギア ソリッド』のことです。


最新作『グラウンド・ゼロズ』では、主要人物が登場するたびに、いわゆる「登場人物紹介」がテロップで表示されるようになりました。私は、「まるで昨今の映画番組のようだ」と思いました。



ですが振り返ってみれば、主要な登場人物が初めて顔を出した際、その登場人物の名前と声優、ないしモーションアクターの名前をテロップ表示するのが、 MGS における慣例です。これは映画的手法というより、テレビで放送される映画番組の手法を意識したものでしょう。




小島監督はこんなことも書いておられます。いわく「MGS に最も影響を与えた映画」、『大脱走』のテレビ版オープニングについてです。

そのシーンにスタッフやキャストの赤いクレジットが重なる。当然TV放映では、画面いっぱいに表記された英語クレジットをTV画面内に無理矢理収める為に、画面が縦長になっている。

(METAL GEAR SOLID NAKED 70 ページ)


これでは、クレジットと共に流れる映像のアスペクト比が狂い、作品が台無しになってしまいます。

当時のTVでは洋画のみならず、邦画もこの手の安易な加工を施されて放映されるのが当たり前だった。

(同)


しかし監督は、こうした「安易な加工」の施されていない DVD 版を鑑賞し、こう漏らすのです。

なぜか物足りなさを感じてしまった。

(同)


テレビで観る劇場映画という文化への思い入れと同時に、テレビのルールに基づいた編集を施したところで、必ずしも映画やゲームがより良くなると考えているわけではない、という監督の思想も読みとることができます。これらテロップの裏にあるのは B 級志向とでもいうべきものでしょう。