メタルギアソリッドについての雑文 | 死体隠し

Twitter に書いたことのまとめ。システム面の感想。

死体隠し

  • MGS2 から倒した敵の体が残るようになり、死体を他の敵の目から隠す必要が生まれた。
    • 敵を殺害することに大きなリスクがある MGS においては、死体ではなく気絶か睡眠で無力化した敵の体を運ぶことのほうが多いと思われるが、便宜上「死体」と呼ぶ。
  • 死体を見られると警戒モードに突入し、歩哨が増員される。 MGS2 ではこれがとにかく厄介だった。
    • 死体はロッカーなどに隠せばいいのだが、敵の死体を動かすあいだはスネークや雷電の脚が遅くなるため時間がかかる。そのあいだに敵に見つかる恐れすらあり、とにかくしんどい作業であった。
他のゲームでも
  • ステルスゲームの死体隠しについて、よほど要望が多かったのか、『スプリンターセル』の近作では公式サイトにわざわざ「死体を隠す要素はなくなりました」と書かれている。
    • メタルギアソリッド』を語るにあたっては、 MGS3 の猿蛇合戦で言及すらしている『スプリンターセル』もプレイしなければならないと思っているのだが、初代 Xbox の 2 作目までしか追えておらず、そのことは恥じている。 3 作目に一時期プレミアがついたために入手できず、そのままフェードアウトしてしまったのだ。またやりたい……。
      • 話はそれるが、MGS3 のトレイラーで GTA への言及もあり、本編中でもジープやトラックに興味を示したスネークに「あんたは車泥棒じゃないんだから…」とシギントに注意されるというギャグがあった。それを思うと GZ でスネークが車を乗り回せるようになったことは、それこそエントリーがひとつ書けるくらい大きな出来事だろう。
改善された死体隠し
  • MGS3 以降では、ひとつひとつのエリアが広くなり、死体を放置しても発見されるリスクが減った。その他、仲間の死体を優先して確認する敵の行動パターンを利用して、死体をアイテムである「雑誌」のように視線誘導に利用できるようになった。
    • MGS2 でももちろんできるのだが、敵の視界が狭く、カムフラ率の概念もまだなかったため、あまり実用的ではない。
  • OPS, PW ではフルトン回収システムを利用して敵の死体を簡単に消滅させることができるようになった。同システムは TPP への導入も予告されているため、われわれが死体運びに苦労することはあまりないと思われる。
  • GZ においては、死体を発見されると警戒モードには入るものの増員まではされないため、ずいぶん楽になった。
    • 増員システムそのものはルーチンとして存在し、銃声の発生箇所や最終確認地点などの捜索のさいに発生するのだが、死体発見はその条件に入ることはなかったのだ。
  • また、これまでは死体運びといえばズルズルと引きずっていたものだが、過去最高レベルの身体能力を誇る『GZ』のスネークは今作で死体を担ぎ、そのまま高速で走り、拳銃まで使うこともできるので、プレイングの負担はかなり少ない。おまけに死体を運んでいる間は敵兵に発見されにくくなるというプラス要素まで追加された。「ほうっておくと面倒になるから」という消極的な動機から「有利になる」という積極的な動機への大きな進歩だ。
    • MGS にしては長いムービーや無線ドラマの少ない GZ だが、こうしたゲームデザインから「死体運び、したないやろ?」「カムフラ率が上がるようなメリットがあらへんと、誰が今どき死体なんか運ぶかいな」という明確な監督のメッセージが伝わってくる。
      • その他、今回のスネークがピッキングツールを最初から持っていることについて、スタッフから「プレイヤーに鍵を探させたほうがいいのでは」という反論もあったそうだが、監督は「アホか」と一蹴している。

兵士の挙動

  • 2 作目の定時連絡兵はプレイングに緊張感をもたらしたけれど、ゲーム的には単なる障害でしかなかったせいか、あるいはマップが広くなってひとりが監視できる範囲におさまらなくなったせいか、 3 作目以降登場していない。確かに厄介だったが個人的にやや寂しい。
    • MGS3 の無線周波数をハイジャックして警戒を解除させるような要素が 2 の定時連絡兵の時点で存在していれば、違ったのでは。
  • 敵兵のひとりごと。ゲノム兵の「ん?何の音だ……」がもっとも印象的。敵兵がルーチン外の行動をとりはじめる理由をプレイヤー伝えるためのものだが、シリーズを追うごとに「足音?」「誰だ?」「爆発!?」「銃声だ!」などバリエーションが増えていき、『GZ』で消滅した。
    • これらの独り言は「本部への無線連絡」という形に変更され不自然さを解消している。「不審な物音がした。これより調査に向かう」「爆発があった!敵の攻撃に違いない」もしくは無線ではなく「おい、アレ何だと思う?」「俺が確認してくる」という風に、敵同士の口頭での連携も。
      • 敵がひとりであると人影や物音を察しても確認前に「ん?」「あ?」くらいしか言わないためプレイヤーは自分のミスを具体的には理解できないのだが、警戒モードであると「不審な人影を発見」と無線連絡があるとか、ふたり以上であると「あれはなんだ」「見てこい」といった口頭連携が発生し、つまり、より不利な状況になるとヒントがもらえるという形になっている。
懐古する
  • 小島監督は、 MGS1 時代、大筋で「ゲノム兵の視聴覚が限定的であることや、いかにもゲーム的なマップ、アイテムボックスを視覚的にわかりやすくするためグルグル回す」という要素は「開き直った」と発言している。
  • 近年、敵兵の視聴覚は、ゲノム兵よりはずいぶん向上した。アイテムボックスも回らなくなった。
    • 不自然な独り言も、監督にとって無くしたい要素だったのだろう。
      • 独り言や回るボックスが持ち味だったとも個人的には思っていたので少しさみしい。